蝸牛の時間 
服部 剛

降りしきる、夜の雨に身を濡らし 
蝸牛かたつむりは真横になって 
塀に、張りついていた 

通りすがりの僕は 
(君は退屈そうだなぁ・・・) 
と思ったが 

ちょっと待て 

渦巻き模様の蝸牛は 
二本の角をぴん、と立て 
忙しげに身をくねらせているではないか 

退屈そうに見える蝸牛は 
人智の遥かに及ばない、渦巻く時間ときの内にあり 
人の耳には聞こえない「宇宙ノ声」を 
二本の角をぴん、と立て 
受信しているようである  

今日も世界の何処かで 
哀しい事件や、愚かな僕の姿をのせて 
廻り続ける地球という惑星ほしについて 
(からだの感覚そのもの)で 
最も吟味しているのは 
一つの場所にじっと、身を据え 
二本の角をぴん、と立てている 
彼の方かもしれない 








自由詩 蝸牛の時間  Copyright 服部 剛 2011-07-18 22:24:59
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