蛙の王子の宝石箱
非在の虹

七月○日は妻の誕生日です。プレゼントはジュエリーボックスです。エナメルとビーズのちりばめられた、小さいけれどかわいらしい蛙の王子がついています。この日ばかりは、その蛙のように、妻にかしずいてもいいではないか、と思っています




ぼくは蛙の王子です

ほんとうはイケメンの王子なのですが

魔法使いに蛙にされてしまったのです

今では金の王冠ならぬ蓮の葉の王冠で

ちょっと泣きべそをかきながら

我慢しています

でもこれからは

あなたのお役に立とうと思っています

あなたの大切なペンダントをしまうため

あなたの思い出の指輪をしまうため

あなたの大好きなブローチをしまうため

そして

あなたの秘密もどうぞ

ぼくにしまってください

あなたのために

永遠に蛙の王子でいることを

ぼくは決心したのですから。


自由詩 蛙の王子の宝石箱 Copyright 非在の虹 2011-07-16 21:19:23
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