呼気の魚の棲む (生体反応の設計)
乾 加津也

視認性に欠ける水色は、ひたすら直進する境界線の色。どこかに背びれを伸ばすわたしに、そのどちらにも泳げない六番目のセンスがこみあげる。周期表(periodic table)の薄い領域。

いずれは呼ばれるわたしも、いまはあらゆるものを呼ぶ。それは四つの生息環境(感覚、感情、思考、直感)の汽水域。なすべき大儀は次の扉を開くこと。next.口を開閉させながら、本能というわたしの存在がまにあえば、鰓で肺の満たしかたを思い出すだろう。鱗を痙攣させる癖で、依存が形成されたわたしを注視する肖像は人の領域。

排他的な雨の研究で遺棄されたスローガンが活着する。「石は墓地で掘れ」朝顔の種は散弾のあとで浮沈を選択。させられる(使役の)領域。

エナメル質の鰾。配給される列のイデア。清流の領域。

蔦に侵略されたテクノロジー。モノローグサービスの公衆電話で、もしもしプツリ、プープープーを繰り返す。GREEN EXITという生命体に出会うまでおよそ数光年を要する領域。


自由詩 呼気の魚の棲む (生体反応の設計) Copyright 乾 加津也 2011-07-12 17:35:34
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