短髪とカーリー
フミタケ

気の毒だな
女にすっかり支配されちまって
本名も電話番号もとっくにバレちまって
お前のやる事は何でも戒められ
伸ばす枝葉を根こそぎ剪定するように
女のご機嫌を気にするあまりもう
自分のすべき事さえわからなくなって
まるで罠にかかったウサギだな
声を荒げても逃げられやしない
可哀想だな
あの娘にすっかり囲われちまって
シベリアの囚人みたいに身動きできない
男の恥だぜ こっけいだよな
金なんてすっかり搾り取られて
車もぶっ壊しちまった
断末魔の叫び声をあげても
もう、どうにも逃げられやしない
いりくんでねじ曲がった景色を見て想いを詩にしても
お前にはそれを説明する気力もない
誤解され辛くあたられるのがオチだぜ
哀れなもんだな
あの娘がお前に何をしてくれた?
必要とすることをしてくれたか?
お前に何も言わせなかっただけ
何もしゃべらせなかっただけだぜ
本当のことを言ってやろうか
いつもお前が悪いんだよ
今更気付いても絶対に逃げられやしない
どうにも振りほどけるわけがないさ
あの娘はお前をひとにぎり
じつにかなしい話じゃないか
まったく気の毒な話だよ


自由詩 短髪とカーリー Copyright フミタケ 2011-07-12 02:23:08
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