あらゆる場所が不可思議であふれている
フミタケ

暗い街灯はくらいままシャッター商店街を抱え埋められた運河を踏みつけながらだましだましつづいていく沈みかけた灰色のこの街みたいに自分をだまし言い訳ばかりする口の動きと言葉の響きがずれる人々が低気圧と湿気と隠しきれないあくびに苛まれる地下サロン/物語がほおづえをつく入り組んだ狭い路地を歩き女の子のその時間ひとつひとつを「残酷で透明」な事実に夢は和音とリズムを伴い美しく紡がれ本気にしたらそれもひとつの現実になるかのように週末の夜へ流れ込む人それぞれのそのそれぞれは秘められたまま気がつけばあらゆる場所が不可思議であふれている/月のうらがわのように見えない所で何かが始まりおこっていくならこの世界はひと時も奇妙である事をやめる事がなく人の心は笑顔や声の調子だけじゃ絶対に額面どうりはかれない嘘つきで半分とじかけたお前のくさった瞳に映る街はひと時も不可思議である事をやめない


自由詩 あらゆる場所が不可思議であふれている Copyright フミタケ 2011-07-11 02:59:38
notebook Home 戻る  過去 未来