冷麦
たもつ



庭に咲く向日葵の陰で
雑種の犬が寝ている

鼻先に吹いた風は部屋に入り
指先や広げた時刻表の表面を涼しくして
再び外へと出ていく

真昼の駅、三等車に乗って
てんとうむしは出征した
ぼくらが産まれる遥か昔に

きみが冷麦の用意をしている
堅い木の椅子
堅い木の机



自由詩 冷麦 Copyright たもつ 2011-07-05 20:30:12
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