艸がなびく
　　馬がいななく
　　大学祭は多摩キャンパスの曇り空
　　お汁粉が食べたくて　小遣いもらって
　　スニーカーでいってきた
　　スニーカー・ブルース　たった一人で
　　いつも一人だけれど　ダチがいなくて
　　女子大だから　娘もいなくて
　　白髪交じりのキッズ　なんかテレちゃうんだ
　　女の子がわんさかいて　それはそれでいいのだけれど
　　なんか妙な場所へ出てきたようで　どぎまぎっしちゃうのだけれど
　　なんだかほかほかして居心地は悪くなかった　男子校出身のぼくは
　　まだトラウマ引きずっていて　女の子には弱いんだ
　　ステージ脇のラーメン屋でぼくは３５０円のチケットを買っていた
　　ステージではバンドの連中が音あわせをやっていた
　　できたてのラーメン盆ごと持ってぼくは石垣に座って食べた
　　どこもいっぱいで座るところがなかったからだ
　　カッコいいバンドだったらいいのになそう思った
　　かつて日比谷野音で行われた１０円コンサートのような
　　はっぴーえんど　や　三上寛のようなほりだしものにだえたら
　　味にこだわりは持たないがラーメンはチャーシューが大きかった
　　艸がなびく
　　馬がいななく
　　各教室でもいろんなイベントがあるらしいのだが
　　フランクフルトやお好みやすし屋うどんもろもろの出店に気が向いた
　　結局は食べなかったけれどお汁小屋の前では立ち止まってしまった
　　カップに赤のしるしがあって大中小にわかれているらしい
　　ぼくは中を注文した　ちいさな餅が三個も入っていた
　　２００円だった　甘いものは精神にいい
　　疲労回復に最高だ　ぼくはあんこが好きなのだ
　　お汁粉は彼女の髪の匂いがした
　　おふろあがりの
　　唇の味がした
　　去年はここで１００円均一　マイケル・ジャクソンのＣＤ買ったのだが
　　ことしはでていなかった
　　バンドの演奏はインパクトがなかった
　　ビート感も
　　グルーブ感もなくぺらぺらやっていた
　　よさんかい
　　よさんかい
　　プレスリーのほうがよっぽどいい
　　艸がなびく
　　馬がいななく

　　明かりのついた最終バスは
　　数十人のスタッフとお客さんを乗せて町の方へ消えていった

　　カントリー・ロード

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００４・１１・１３