悲しい夢
ミツバチ

ちりんちりんと風鈴が揺れる
見上げる空は雲が多くて
うとうとと眠る肌に
風が静かに滑っていく

夢の入口で
君がさよならと言った気がした
強い陽射しの中で
弾むように雨は降り
君を追いかけて
私の白い足は
濡れたアスファルトを踏みしめる

人びとの涙に濡れていた
迷子になった子供のように
君の名前を呼ぶ声は
遠くに架かる虹に消える
片目を閉じた人々が
私を横目に見ながら
皆水溜まりに溶けていき
一人残った私は
君の姿を空に映した


ちりんちりんと風鈴が揺れる
見上げる空は相変わらず雲が多い
静かに滑る風は
悲しい夢から覚めた私を
優しい笑顔で覗き込む
君の髪を揺らしていた



自由詩 悲しい夢 Copyright ミツバチ 2011-07-03 16:31:06
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