風追っかけ
電灯虫

友達が風を捕まえた。
見せて貰うと
風は虫かごに入れられて
崩れないように
消えないように
中へ中へと
その身を渦巻いた。
見続けて感じた時間は
ほんの数十秒、
虫かごの隙間から
少しずつ漏れて
最後には消えていった。
あーあ と言って
友達はまた風を捕まえに
走っていった。
びゅっと
僕の背中を押した
小さい風は
友達を追いかけた。
高い木の上
大きくゆったりと
葉を揺らす大きくゆったりな風。
僕は感じることができない。
身長は前から数えて
三番目。
靴も小さいけど
思い立ったから
僕は小さい風を追って
走り出した。


自由詩 風追っかけ Copyright 電灯虫 2011-07-02 13:47:49
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