ケータイのけいたい
中川達矢

携帯電話を略して
ケータイと言う
それでは
携帯という形態だけが
うきぼりになり
電話としての
機能を失っている
たしかに
失っている
電車の中
学校の中
レストランの中
エトセトラの中
ケータイという形態を
携帯しているひとが
どの中にもいる
もはや
ケータイの中にもいる
携帯電話からうまれた
ケータイは殻を割り
その姿に原形はない
ひとびとは
携帯電話の電話をすてて
ケータイを持ち歩く
ケータイという形態を
携帯していることに
ほこりを添え
かえりみを忘れ
ひまがあると
ケータイに吸いこまれている


自由詩 ケータイのけいたい Copyright 中川達矢 2011-06-23 20:01:25
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