女の子と歩く
真山義一郎

港町を
女の子と歩いていた
正直、
まったく楽しくない
第一、話がまったく噛み合わない
彼女は体育大学出の
ばりばりの体育会系で
本などほとんど読んだことがないという
その点、俺ときたら
テレビも見ずネットもせずに
ちあきなおみなど聴く
読書と映画とアイドルと風俗だけが趣味みたいな
変態文科系オタク
お互いがお互いに興味がなく
お互いがお互いの大事なものを大事と思わない
だが、お互い大人なので
それをけなしたり、踏みにじったりもしない
だから、楽しくはないが、
不愉快ではない
港町なので
港の風が吹く
春先なので
寒い
しかし、海はきれい
しかも、日が暮れれば暮れるほど
夕焼けの眩さが
心を熱くする
夕焼けってなんでこんなに素敵なんだろう
素敵に俺を哀しく優しい気持ちにさせてくれるんだろう
と、思いつつも
その女の子と盛り上がることもない
ああ、でも、こんなのもいいなー、と
思えるようになったのは、
やっぱり、おっさんになったからで
おっさんになることもそう悪いことではないな

多分、初めて思った
無論、
その後、
風俗に行った





自由詩 女の子と歩く Copyright 真山義一郎 2011-06-17 14:42:48
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