高台へゆこう
高橋良幸

おはよう
昨日までやり残したことが
今日の地盤を揺らし
タスクリストの波となって押し寄せてくる
後手後手で考えたくはないから
見晴らしのいい
高台へゆこう
筋道が見えるといいね
対岸が見えるかもしれない
どこに橋を渡せばいいか
どこに堤防があるのか
けれど坂道をいっぺんには駆け上れない
抱えているものが、わりに多くて
だからといって隊列を組んではいられない
前後のシュプレヒコールに
流されてしまうから

   みえる?
     きこえるね。
   怒号と非難。

電子化された脊髄反射の言葉が
まとまりかけた誰かの一文を勢い良く分裂させた
それは再び電子化され、脊髄反射の言葉となって
まとまりかけていた誰かの一文を分裂させる
肩が凝り、目やにもひどい
坂道だ
高台を探しているいまでは
皆の考えによけいな塊が付いているようで
同位体のように崩壊していく

手を止めなよ
頭を冷やし
吐息を封じ込めろ
めざすのは坂の上だ
薄暗い部屋で
にじんだピクセルをわきに置いて
静かに考える
まとまった文を声に出し
耳で聞いてみる

17時の鐘は鳴った
電燈が灯り
あなたが帰ってきた
今夜は冷たいご飯?
それとも温かいご飯?

おやすみ、
また明日
てんでばらばらに
高台へゆこう


自由詩 高台へゆこう Copyright 高橋良幸 2011-06-12 18:25:07
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