幸せの輪転機
たもつ

低気圧の接近、
する唇から
漏れる苦い言葉
水へと沈み
二度と浮上しない深海の
珍しい魚になる
従兄は輪転機を回し
僕らの指紋を
大量印刷している
これでも昔はお医者さんだったんだよ
と言って輪転機を回し続けている
今とどちらが幸せか、
なんて言わない
幸せ、の意味すらも
僕らはたぶん知らない



自由詩 幸せの輪転機 Copyright たもつ 2011-06-10 21:40:57
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