恋人はできたけど
はだいろ

41歳になって、
生まれて初めて、彼女はできたけれど、
土曜日も、
上野の鈴本へ、寄席に連れてったけれど。
ポッキー右手でつまみながら、
左手で、彼女のふとももをつまんでたけれど。
お寿司を食べて、
彼女は生理の6日目だというから、
朝は昼までいちゃついて、
生パスタでランチして、
たいやき食べながら、
ぶらぶら散歩して、
500円のハンドバックを買って、
なんかの撮影をしてるのを通りすがり、
なんだか疲れて昼寝して、
再来週の、
土日で、
ANAのインターコンチネンタルホテルに、
お泊まりしようねと予約したけれど。
夜ごはんには宅配ピザを頼んで、
またまた、
Tシャツの裾から、
手をつっこんで、
やわらかいおっぱいのどこかにあるという、
乳首を探しに、旅に出たけれど。
ふとももの特等席で、
青い血管を舌でなぞってたら、
ぼくは、それで、満足して、眠くなってしまった。
スピーカーに、
彼女がつまずいて、音をたてたので、
ぼくが目を覚ますと、
もう帰ろうとしている。
なんだか悲しそうな目をしているから、
ぼくも悲しくなって、
どうしたのと聞いたら、
なんでもないと言う。
雨がざんざん降り出した。
ぼくは抱きしめて引き寄せて、
服をぜんぶ脱がしてしまう。
ぼくが悪かった。
ごめんね。って謝る。
ぼくは血が苦手だから、Hはぜんぜんする気なかったのに、
乳首をなめたり、
ふとももをしゃぶったりするうち、
すっかり、彼女のほうが、いたたまれなくなってしまったらしい。
そうは、言わなかったけれど、
きっと、そうだったに、違いない。
ぼくは一生懸命、酔っぱらってたけれど、
頑張った。
でも、
指にやっぱり、血がついてたから、
ゴムをつけようとしたら、
彼女のほうが、すっかり醒めてしまい、
もうどんなに触っても、濡れたりしなかった。
41歳になって、
生まれて初めて、彼女はできたけれど。
恋人と呼んでよいのか、わからない、
37歳の少女だけれど。
ぼくはすっかり傷つけてしまった。
どうしたらいいのか、
もちろん、わからない。
わかるわけがない。
朝の五時半、彼女は帰っていった。
眠気とたたかいながら仕事をして、
帰り、
内幸町ホールで、
落語を聞いて、帰った。







自由詩 恋人はできたけど Copyright はだいろ 2011-06-06 23:13:57
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