鳥の霊 
服部 剛

幻の建築の下で、給仕人等は白い手袋を 
はめる。幻の建築は夕陽に染まり、地面 
に怪しい影を伸ばす彼等が白い手袋で持
つ一つの銀盆にのるリボンを結んだ七面
鳥が焼けた黒い姿で、一声啼いた(その
時夕空に亀裂の入る、音がした。一斉に
盆を手離した彼等は、地下室の階段へと 
後ろ姿を消していった。地面に堕ちた七
面鳥から抜け出した鳥の霊は翼をひろげ
遥かな夕空へ、吸い込まれていった。 








自由詩 鳥の霊  Copyright 服部 剛 2011-06-04 20:26:29
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