赤い靴
只野亜峰

シャム猫の白い牙を抜き取り
柔らかな目蓋の裏へと突き刺す
暗闇に怯えないようにと
その瞳だけを抉り出して

夕暮れに滲んだ街の色は
滴る血の色に似て素敵だね

赤いトゥシューズを胸に抱いた
貴女は濡れた髪を掻き乱して
笑っていたんだ
何処へも行けずに


自由詩 赤い靴 Copyright 只野亜峰 2011-06-03 22:55:56
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