dragon phantom
TAT

















































既に友となった吹雪は

















今も残忍な悪魔のように吠え劈いている



































死は甘美だが故に困難で






















豪雪や暴風や心からの絶望を


















死に貢ぐが彼女は尚も私と寝ない





























凍傷で指は朽ち両の目も既に潰れた





















































肉が落ち骨になり骨は凍り








































それは鉄琴のように澄んだ音で鳴った



















































そうまでなって何故私は死ねぬのだ?


































そう叫び










叫んでなどいない事に気付く














叫べていない事を知る





















喉の肉も舌も今や












私は持ち合わせていないのだから

















































やがて私は青い透明な竜に成って












骨を透かした翼を広げる私は




苦しみを苦しみ抜いて



















なるほど彼の竜に生まれ変わる







































私は秀逸なその夢想に本当に久しぶりにやや笑い
















考えてみれば後は骨の配列を変えればそれは容易な事なのかもしれぬと

































その稚拙な閃きに
















刹那遊んでいた







































































やはり竜は予定調和の姿で






















頭上を稲妻のように天変地異のように






ゆくあての無い列車のように



















圧倒的な力で貫いてゆくのだった
































神は神だと






















そう笑いながら





























































































死はそれでも私とは寝ないようだ

















































































私は私の鉄琴に音階を辿り始める事にした





































私をなぐさめる歌をつくるために


























自由詩 dragon phantom Copyright TAT 2011-06-02 03:47:01
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