てっぺん
subaru★

一生に一度 誰もが てっぺんに登りたいと思う
私もその一人だった
そう信じてた

だが てっぺんに長期滞在するほど体力は無く
高山病になってしまうかもしれない
私は柔である

居座る欲もなく
上からの眺めが良いのは ほんの一瞬だけ
私は無気力である

いっそのこと てっぺんから
ダンボールのソリに乗って 直滑降したほうが遥か気持ち良い
私は阿保である

てっぺん へ向かうリフトに並ぶ長い列 途絶える事の無い列
てっぺん を経験した者達が再び 最後尾へと列を作る
私は待つのが苦手である

眺めの良いウォーターフロントの高層マンションより
寝心地が良い低層の賃貸住宅に住んでいたい
私は高所恐怖症である

てっぺん に咲く木ノ実も見事だが
地下結実の落花生も申し分ない デキ だと私は信じている
私は天邪鬼である

あ 最後に一つ

ある名脇役の女優さんが念願の主役を射止めた
いざ主役を演じると あぁ こんなものか
とインタビューで語っていた

メインも輝かしいが それを惹きたてるほうが
もっと もっと輝かしいと勝手に思い込んでいる
私はクドい男である


自由詩 てっぺん Copyright subaru★ 2011-06-02 02:30:49
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