約束の地
西天 龍

遥か昔、遺伝子に書き込まれた渡りなのに
都鳥たちは不安げに北に向かった
ずっとここに居てはいけないのかと
問うように翼を少し傾けながら

さっきまで浮かんでいた水面は
桜の花びらが埋め尽くし
まるで追い立てるように
幾重にも風紋をつくる

遥か昔に書き込まれた別れだけれど
あまりにも不本意で
ずっとここに居てはいけないのかと
なぜ約束の地と別れなければいけないのかと
都鳥たちが鳴く



自由詩 約束の地 Copyright 西天 龍 2011-06-01 01:24:33
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