frigid vessel
雛鳥むく

トレモロ、
ふかい積雪のなかに、
なめらかな素足が埋もれている。
雪に焼けていく皮膚が
雪を焼くという反応。
果たされなかった握手と、
連絡の途絶えたわたしたちの氷河期。


pen dulum,
行き交う信号
と、
通信するための通路。
(紐を張り巡らせれば
交差がうまれます。
はろー?
伏線を張り巡らせれば
音叉がうまれます。
垂直に、
ただ垂直に、
形骸していけば
よいのです そこに
運動なんて必要ないのです)


雲から水を零すと
土を濡らす前に
白く凍ってしまって、
また
余白に余白を重ねてしまった
と、
利き腕を裂く。
tremolo, tremolo,
はろー?
応答を応答せよ
そのまま、
やさしい暖炉で燃やしてくれたらうれしい。


鳴らない鐘
を鳴らさない手
を配置する手。
鳥葬されたい、
鋭い反射によって
暖をとるmonoたち。
形骸したい、
(力学と呼ばないで、)
作用も反作用もなく
鳴らされた鐘、
の音は既に殺されていた。
乾燥したわたしの
手は潤っている、
と見せかける手つきで、

I dia.

あるいはdiadem。

呑むことしか考えられないアカウントが
熱を失って久しい。
鈍い、触覚が、
触角が、
名前すらないtriの囀りを
通過して、
透過して、
積雪は融解をし、
もうここには、
直立しか残らない。


「暗号なんて手段でしかないのに、
「清潔な吐血、
「首肯
「溶媒を追いかける溶質、
「ステライル、
 (すてらいる、
「花弁を廃棄していく植物、
「誰かが戸を叩いている、


呑む、
ばかりの暖炉、
(それでも鳥葬されたい
嚥下を待つ嚥下、)
利き腕には、
いつも座標が
散乱している。
そして産卵している無菌室、
ねむり、
と銘打たれたわたしたちの
ねむりのなかにねむれ媒介。
薄い毛布で
冬を越すというのなら、
凍りついた力学は
きっと容赦してくれない。
 
 


自由詩 frigid vessel Copyright 雛鳥むく 2011-05-23 02:44:56
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