コンクリートと靴の音
ゆうと



雨の日の地下室で
僕らはコーヒーを飲んだ
君はホットで 僕はアイス
隣の二人の会話が大きい
いまならおどろかないから
ひみつの話をしよう

たわいないひとことに
僕がもうひとこと
君がもうひとこと
くりかえすうちに
サンドイッチができあがったね
しっとりとした雨に
しゃきっとした君の傘は似合う

君のコーヒーはぬるくなって
僕のコーヒーはうすくなって
隣の二人がいなくなっても
僕らはまだそこにいたね

時間の流れなんて
時計を見なければわからないから
いいように いいように
都合のいいように 流れていったね

遅くなっても明るくなった
僕らのまちは夏をむかえる
春だったんだなとぽつり
受け取った紙は
うちに帰ってまた見るよ
僕はもうすこし
君は足早に
反対方向へ
雨の上がったまちをてらす
緑がそっと揺れている





自由詩 コンクリートと靴の音 Copyright ゆうと 2011-05-22 23:20:29
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