にんげんのこころ
オノ
あるえらいはかせが、人間の心をもったロボットを作ろうとしました。
はかせの作ったロボットは、見かけは完成しましたが、
まだ人間の心をもっていません。
はかせは、ロボットが人間の心を手にいれられるように、
さまざまなめいれいを下しました。
「人助けをしなさい。」
ロボットはそのとおりにしました。
ロボットはやさしい気持ちを手にいれました。
「花をうえて、まいにち水をやりなさい。」
ロボットはそのとおりにしました。
ロボットはきれいだと思う気持ちを手にいれました。
ロボットは人間の心がほしくて、どんなめいれいも
一生けんめいこなしました。
そうして、たくさんのめいれいをこなすうちに、ロボットは
ほとんど人間の心を手にいれてしまいました。
はかせはさいごに、ロボットにはかせを殺すように
めいれいしました。
そうすれば、めいれいをされなくても自分でかんがえる
心が手にいれられるのでした。
ロボットは、はじめてはかせのめいれいをことわりました。
はかせを殺して人間になるくらいなら、ロボットのままでいいと
思ったからでした。
めいれいをやぶったロボットは、回路がショートして、壊れてしまいました。
こうしてロボットは、人間の心を手にいれたのでした。