にんげんのこころ
オノ

あるえらいはかせが、人間の心をもったロボットを作ろうとしました。
はかせの作ったロボットは、見かけは完成しましたが、
まだ人間の心をもっていません。
はかせは、ロボットが人間の心を手にいれられるように、
さまざまなめいれいを下しました。
「人助けをしなさい。」
ロボットはそのとおりにしました。
ロボットはやさしい気持ちを手にいれました。
「花をうえて、まいにち水をやりなさい。」
ロボットはそのとおりにしました。
ロボットはきれいだと思う気持ちを手にいれました。
ロボットは人間の心がほしくて、どんなめいれいも
一生けんめいこなしました。
そうして、たくさんのめいれいをこなすうちに、ロボットは
ほとんど人間の心を手にいれてしまいました。
はかせはさいごに、ロボットにはかせを殺すように
めいれいしました。
そうすれば、めいれいをされなくても自分でかんがえる
心が手にいれられるのでした。
ロボットは、はじめてはかせのめいれいをことわりました。
はかせを殺して人間になるくらいなら、ロボットのままでいいと
思ったからでした。
めいれいをやぶったロボットは、回路がショートして、壊れてしまいました。
こうしてロボットは、人間の心を手にいれたのでした。


自由詩 にんげんのこころ Copyright オノ 2011-05-20 23:24:07
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