整理整頓
電灯虫

思い立ったが吉日で
溢れた本をのけて 本棚を見つけて 本を出す。
手前ものから出すに連れ 過去へと戻ってく。
奥にあった 表紙がボロボロで 何度もめくった特別の本。
ざらざらする表紙をなでて 
ちょっとだけ 他の本と違った場所に置く。



本棚をどけて 普段見えない 床を拭く。
ほこりと こびりついた土が 目に付く。
ほこりは掃除機で吸い 土は雑巾で頑張って拭く。
こびりついた土は 乾いてる。
けど 生の臭いの記憶を刺激する。
最近土を手に取っていないことを気にしつつ
一生懸命 汗を流して 土を拭く。



隣の洋服ダンスも どかそうと 背面を見てみる。
壁との間に 大好きで鞄に付けていた 人形が挟まっていた。
壁に背をつけ 左手いっぱい伸ばし 
人差し指と中指でどうにか取る。
ほこりと一緒に 久しぶりに手に取ったのに
相変わらずの 笑顔。
モテ服がかけられた 洋服ダンスと 
その後ろに居た この子。
これを大人になったというの?
なんて 下手な歌詞みたいで
これぞ 苦笑い という笑いを浮かべていたと思う。
こんな 晴れた日でよかった。
そう思って お腹を一撫でして 机に飾り直す。



おでこに浮かんだ 汗が頬を伝って床に落ちる。
背中が一番 汗をかきやすいから
Tシャツの背後に プリント要らずの 模様が描かれる。
積もり積もった 思い出を整理して
次は 結構苦労する 換気扇の油よごれに立ち向かう


自由詩 整理整頓 Copyright 電灯虫 2011-05-20 20:35:45
notebook Home 戻る