マイ ブルーヘブン
……とある蛙
青空に首を突っ込んで
即死した変死体の傍ら
空飛ぶ鶏の嘴(くちばし)が夥しい数で囀(さえず)る
青い空に白い雲
夕方には赤い夕日と
朱に染まる山の端
(絵に描いたような五月晴れ)
青空を見なくなった。
暗い夜空に星は無い。
ボーッと灯る街明かりだけ青空を見なくなった。
モニターの裏側から
独り言を呟く妖精が
リプレースされた
花瓶の中程から絞り出される
青空を見なくなった。
昼間はいつも画面を眺め、
夜には月と星空と
地上に輝く街の灯り
(都会の夜の妖しい光)
計画停電とやらで
薄暗くなった郊外の駅前の
格好のひったくりポイント
「どろぼー」との金切り声がこだまする
青空を見なくなった。
見えるところは
星の無い暗い夜空に
ボーッと灯る街明かりだけ
(文明を再考する良い機会だ)
青空を見なくなった。
朝はいつものの二日酔い
そのまま夜までボーッとし
時間の流れに身を委ね
青い空を見なくなった。
(確かに見てはいるが晴れ晴れしない)
しかし、あの時のように
青い空を見ていたい。
青い空に顔を向けたい。
満面の笑みで
青い空に話しかけたい。
青い空に叫びたい。
そして、悲しいときは
青い空に涙したい。
子供の頃のように
みんながいた
あの頃のように