一枚の絵
ひより

絵の具が描きたかったのは 校庭のブランコの横の大きな一本の木だった。
一枚 一枚、 葉っぱさん達は 気持ちよさそうに 揺れていた。
「はじめまして・・ 」と お話しをされてきたのは、少し右寄りの 一番お空に届きそうなところで揺れていた葉っぱさん。
その時 たぶん 私・・ ・ 葉っぱになっちゃったんだと 思う。
校長先生が そ〜っと そっと様子を見てた。
いつのまにか絵の具は お話しを聞きながら その大きな木の 一枚の葉っぱさん を描いていた。
てんてんてんてん の中に たった一枚 見えないはずの葉脈が描かれた。
すると、隣りの葉っぱさんが語りかけてきた。
「お日様とお話しをしてみないか? 」
いつのまにか その隣りの葉っぱさんも、そのまた隣りの葉っぱさんも・・ ・
描いた。夢中になって 描いていた。
気付いたら 校長先生は 居なかった。
チャイムは鳴って てんてんてんが 落っこった。


散文(批評随筆小説等) 一枚の絵 Copyright  ひより 2004-11-10 00:21:10
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