訴える
一 二

神様、私はあいつを訴えます

私の肉は削ぎ落とされ
あいつの犬の餌になりました

私の骨は磨り潰され
あいつの畑に蒔かれました


神様、私はあいつを訴えます

夜になるとあいつは
私達、人を拐いに来ます
父と母が連れていかれました

あいつが私を見つめます
その口が物を言いかけます
「お前も子どもが出来たら次はその番だ」

父母はまるで
木こりの手につかまれた
乾いた薪でした

父母は最後に、こう言いました
「私達の眼は夜鷹の眼に変わり
お前を見守る
夜の黒い襞を通して
その眼は一心に見つめるのだ」


孤児であるわたしたち
私はあいつを訴えます

石が私の玩具となりました
石は顔をもち
父と母の顔をもち
花のように萎むこともなく
獣のように噛みもせず
暖炉に投げこんでも
乾いた木のようには燃えません

孤児である私は
あなたに訴えます
世界に訴えます

お前よ
お前は何故、私から
柔らかな母を奪ったの
そしてねえ、お前
お前は何故
私に似ているという父を奪ったの

私はもう
この世の誰にも似ていません

おお、お前
私達はお前を訴える

全てを奪われた私達は
主の元に還れずに
孤独の野辺にて眠りにつく


自由詩 訴える Copyright 一 二 2011-05-13 13:22:20
notebook Home 戻る