ヘンタイのサイテー
藪木二郎

 あの頃はまだ
 山ガール
 なんて言葉
 なかったかなって思うんだけど
 あのひとはなにか
 そんなニュアンスの言葉で
 自己紹介したんだ

 二つの同人誌グループの
 合同の飲み会の席でだったな

 山ガール
 嫌がられるんですよね
 上のほうにいる時は
 そうでもないんですけど
 電車乗って
 平野のほうまで下りて来ると
 ほら気圧とかの関係で
 自分でも臭っちゃってるの
 分っちゃったりするんですよ
 だからいつも
 電車は最後尾の隅っこのほう
 それでもなにか
 ヒソヒソ話とかされちゃったりして

 でも僕ってほら
 あれだから
 嫌がったりなんか
 嫌がったりなんか
 それどころか
 むしろ

 席替えであのひとが
 僕の隣りに来た時
 僕二重の意味で
 コッチコチんなっちゃってて
 覚られてはいけないって思えば思うほど
 コッチコチんなっちゃって

 それなのに

 ごめんなさい
 お食事時にするような話じゃ
 なかったですよね

 なんて
 逆に気遣わせちゃって

 でっでもっ
 上のほうではその
 トイレとかってやっぱ
 あれっすかねえ
 なんて
 馬鹿な質問したのは
 僕じゃなかった
 僕のほうのグループの
 馬鹿ではあったんだけど


自由詩 ヘンタイのサイテー Copyright 藪木二郎 2011-05-11 20:53:27
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