真っ白い、光
ズー

真っ白い、って


乾いた石で造られているベンチが一組、砂地の広場に置かれていた。
祝日の歩道と砂地との境目に、たましいが死んでおり、黒ずんでいる。
ゼラチン状の日差しが、座り込んだ膝を包んでいる手の甲に付着していく日に、夏というものが春というものの肩に噛み付き、秋というものが夏というものの下腹を使い慣れた舌で愛撫していた。
冬というものは、それらの働きを、記憶していく。
これを経験したら、後は腐っていくだけの季節たち。
黒ずんでいる、たましいのたましいが、広場の真ん中あたりにある、居場所を無くした和式の便器と手洗い場まで辿り着いた。
たましいは、手洗い場の蛇口にしぶとく絡まり、蛇口から一粒の水道水が落ちる。
水の匂いを吸い込んだ、たましいは、生前に消化され、腸内に留まっていた、消化物を、和式の便器に産み落として、いる、
くそだ、人間の、それも、僕の、体から、真っ白い、うんちが、出てきたら、どうしようか、って、
便器の、ぶつ、どうしようか、って、
乾いた、石のベンチから、立ち上がり、その石の、片方の、壊れかたが、さびしいです、って、
季節たちの、性癖が、さびしいです、って、
、いうより、真っ白い、なんて事、ないです。


と、ここまで、綴っていた詩句に、僕の、砂地の広場に、石のベンチに、祝日の、季節たちの、黒ずんだ、たましいの、たましいに、ゼラチン状の日差しが
付着していく、日に、

手を揺らしながら
そこから飛びたった いやに、真っ白い、光の君


自由詩 真っ白い、光 Copyright ズー 2011-05-10 17:21:33
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