カンバス
佐倉 潮
宵の頃から明け方まで
天の雪が静かに降りて
町ぜんたいが真っ白な
画布(カンバス)でおおわれる
朝になれば
小さな者たちが
家々から画布の上へと
皆いでて 息を吐き
それぞれの絵を描く
もっと小さな者たちは
まだ見ぬ春を描こうと
画布の下で顔あわせ
ひそやかに 息ひそめ
ほほ笑みあっている
自由詩
カンバス
Copyright
佐倉 潮
2011-05-08 21:32:53
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