午睡
千波 一也


わたしが覚えた涙のあまみは
傍らの辞書によれば
もろみ、と呼ぶそうで
カーテン越しの陽射しの匂いは
ときどき広くて
ときどき鋭い


いつか見た夢の数々が
今でもずっと夢なのは
否めようにも否めない
まるで優しい足枷みたい



息継ぎを忘れたら
魚になれるものであろうか
いつでもどこでも空をも往ける
きれいな魚になれるだろうか

ひっそり小出しにする嘘ならば
手のひらに負える重さが良い



まぶたを閉じても瞳はまるい
見えないからこそ尚更まるい

そこに名付けられた呼び方を
わたしは知りえないけれど
約束、という響きかたが
わたしの胸には温かい


両目でゆらりと宙を泳いだら
もうすぐ蝶々が舞ってくる
ひとつふたつと
多彩に結ばれて






自由詩 午睡 Copyright 千波 一也 2011-05-01 11:29:54
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