東電のうた
一 二

すやすや眠れる布団の上
僕等には無い
王様には有る

僕等には無い
王様には有る
それが嫌なら墓を掘れ
そこなら寝ても狭くない


王様は暖かい布団の上で書く
核と戯れ王様は書く
隠れん坊しながら王様は書く
僕等に宛てて手紙書く
「墓を掘れ」と

書いて王様は出掛ける
自らが撒き散らした毒から離れるため
別の街に新しい城を建てるため
「次は何人殺そうか」
地上の凶星瞬いて
口笛吹いて毒を撒く


王様は僕等に墓を掘らせる
僕等に王様は言い付ける

「歌を奏でろ舞え踊れ
こっちの者ども穿て地を
そっちは奏でろ弾け歌え」

ベルトに手をやり振りまわす
王様の眼は嬉々と光る

「こっちの者ども掘れ深く
そっちは奏でろ舞え踊れ
もっと甘美に死を奏でろ」


死は東電から来た黙りん坊
死は煙となって立ち登る
自分の墓さえ煙の中
そこなら寝ても狭くない

死は東電から来た利かん坊
その目には己しか写らない

見えない毒で王様は裂く
狙い違わず僕等を裂く

僕等に王様は棺を出す
蛇と戯れ墓場を見る
死は東電から来た卑怯者


自由詩 東電のうた Copyright 一 二 2011-04-30 10:21:04
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