僕が消えればよかったんだ
花形新次

僕が消えればよかったんだ
残っていたものは何もなかったんだから

それなのに
ちょっと肩が触れ合った
君とのことに希望を見いだし
僕の生きる理由だと思い込もうとした

結局、君を巻き込んでしまっただけなんだ
僕のしでかした過ちを含めて
今、君がすべてを背負い込んで
息を切らせて坂をのぼっている

僕は罪滅ぼしにと
君に少しの食料と水を差し出しはするけれど
一緒にのぼってなんかいない
君は何も知らないで
疲れ切っているのに
僕に向けて
感謝の微笑をいつも絶やさない

お願いだから疲れた表情で
「愛してる?」なんて聞かないでくれ
愛してると答える自分を殺したくなるから
引きつった作り笑いで愛していると答える自分が
この世で一番醜いものに思えるから

もっと昔に殺しておくべきだった
そうなんだ・・・・
もっと昔に、自分を、自分を・・・・

僕が消えればよかったんだ
あのとき僕は終わっていたんだから

僕が消えればよかったんだ
代わりはたくさんいたのだから








自由詩 僕が消えればよかったんだ Copyright 花形新次 2011-04-29 04:53:36
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