空のベッド
Seia


祖母の見舞いに向かい
隣のベッドには一人の女性

賑やかでいいわねと
放ったその目が寂しくて
少し悲しくなる

今日もまたニュースでは
孤独な終わりが告げられて
日本の勝利に酔っている

人は死ぬ時 何を思い出すのだろう
目をつむり 声が聞こえなくなり
感覚を失う 手前で 何を

走馬灯が 回る 回る


祖母が退院した時
隣のベッドには誰も居なかった

賑やかでいいわねと
放ったその残像だけが
宙に浮いている

今日もまたニュースでは
容疑者の生い立ちが晒されて
他国の銃声が届けられる


人は死ぬ時 何を思い出すのだろう
血が止まり 体は冷えていき
意識を失う 手前で 何を 誰を
思い出すのだろう

そんな時に限って
本の結末が知りたかったり
するのかもしれないけど

残像が ふわり ふわり
走馬灯が 足を 止めた


自由詩 空のベッド Copyright Seia 2011-04-17 16:40:54
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