春と双子
yuko
雪解け
の真みずを飲みほす母は
耳もとに咲いた
花をついばむ嘴で
ちいさな足に
生年月日を刻印する
とんとんと、
角灯を倒していく
降り立った
ベランダで冷たくなった
少女たち
網膜の欠損した
わたしたちの眸
閉ざされた境界に
集約された嘔吐の
王国
ごくごくとのどを鳴らして
雪がれていく
残照
わたしたちは、
花の名前を知らないまま
春が来ます
しあわせの羽を落として
自由詩
春と双子
Copyright
yuko
2011-04-15 02:39:20
縦