夜とむらさき
木立 悟






寄り添うは虚ろだと知る夕べから髪と糸の鳥もとめる二人



とげが棘ひかりが光に刺さるのは鉛筆の森はらわたの森



音をただ携えて無の道をゆく冬を後ろにかたちなき人



菓子と酒ひとつに光るうたの曇わたしはわたしのむらさきを聴く



なぞるだけ現われ出でる罠のよに冬うめつくす鳴かぬ虫の羽



鏡には映らぬ崖をすぎてゆく午後降る午後の雷雲の群れ



見えない火見えないふるえに燃えうつり見えない夜に枝は明るく



壁と火が音を消しゆく灰の日に雨から雨へ辿るむらさき






















短歌 夜とむらさき Copyright 木立 悟 2011-04-10 12:01:36
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