世界
青井とり


わたしだけの世界

かすかに聞こえてくる
喧騒のひとかけらも
画面のむこう
ほほえむアナウンサーも
わたしを拒む世界
ため息が漏れたとしても
それはひとりぼっちの声

下らないジョークにも
落ちのない話にも
笑える自信があるの
わたしが口角をあげると
渇いた声だけが笑う
それはひとりぼっちの擬態

まぶたを閉じるその刹那
わたしは世界になり
あなたの世界を作る
わたしはあなたを作る
シナリオを壊さないで
それはひとりぼっちの憧憬

切り離されてはいなくて
繋がってもいなくて
分かち合えたふりをして
いつからだろう
慣れてしまったみたい
鏡に手を差しのべる
それはひとりぼっちの会話

わたしだけの世界
膝を抱えて見つめている



自由詩 世界 Copyright 青井とり 2011-04-09 01:56:05
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