待っている少年
beebee






 冬の日の寒い朝の舗道で、鼻水を垂らした少年が待っている。
耳に被る毛糸の帽子。目の輝きは白い朝だ。太く短い白い息を吐
き、彼は両手を擦り合わせ叩き付ける。寒さが身を締め上げる。
アスファルトの砂が悲鳴を上げ、水たまりが白い雲を映す。大き
な鼻が空気を吸い、厚い唇はかさかさにひび割れている。
 少年は目を輝かせながら舗道で待っている。ガールフレンドが
来るのか、お母さんを待っているのか、少年は朗らかに何かを待
っている。
 ぼくは彼があまり待たされないことを想う。人生は待ちぼうけ
だから。人間の歴史はこの朝の繰り返しだから。

だから待っていろ




 


自由詩 待っている少年 Copyright beebee 2011-04-08 00:59:44
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散文詩