オロオロしながら泣きながら描く祈りの詩
涙(ルイ)


寒さに震えているあなたに
あたたかい毛布をかけてあげることもできません
空腹を満たしてあげることも
乾いた喉を潤してあげることもできません
泣きたいのをグッと我慢して
みんな大変なときだからとこらえているあなたに
なんと言葉をかけたらいいのかさえもわからないでいます


こんな詩なんか考えている暇があるなら
あたたかいご飯のひとつでも届けてやったほうが
よほどありがたがられるにちがいないし
こんなときそばに行って
ただ話を聞いてうなずいてあげることのほうが
どれほど価値があるかしれません


第一 テレビの前でボロボロ泣きながら
ただオロオロするばかりの私は
こんなときでさえもやっぱりどうしようもなくダメな奴で
それでも何かをしなければ
こうしている場合ではない衝動にかられどすれ
何をすればいいのか皆目検討もつかず
普段は行列なんかに並びもしないのに
水を求めてスーパーの行列に並んじゃったり
棚から品物が消えていく不思議な現象に
呆然と立ち尽くすばかりで


      ひとりじゃないです
      私たちがついています
      きっと乗り切っていけます
      祈っています
      ずっと応援してます


そんな言葉がいま
本当に必要なのか
私にはよくわかりません


言葉なんかじゃ誰も何も救えない
詩人なんて所詮は無力な生き物です
わかってる
わかってるそんなこと


それでもやっぱり 
祈らずはいられないよ


あなたが今夜 ほんの少しでも眠ることができますようにと
あたたかいご飯で 少しでもおなかが満たされますようにと
あなたが探しているあの人があの思い出が
一刻もはやく見つかりますようにと


気丈に振舞うあなたのやさしさが
いつか必ず救われますようにと


もう我慢なんかしないで
思いっきり声を放って泣けますようにと



涙のあとには笑いがあるはずさって
誰かが歌っていたけれども
それはたぶん いや絶対にそういうものだと
私も信じているから



無責任なことばかり云って
本当にごめんなさい


あの瓦礫の山が片付く頃にはきっと
流した涙も乾いていることでしょう


先のことは
それから考えたって
まったくもって遅くはないのだからと



あなたが私を目覚めさせてくれたから


いまはただ そのことだけ
そのことだけを

声を大にして云わせてください


自由詩 オロオロしながら泣きながら描く祈りの詩 Copyright 涙(ルイ) 2011-04-06 21:06:09
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