つみをあやまる
村上 和

ごめんなさいで済むから
警察官は要りません


病人がいないので
お医者さんは要りません

みんなが歩くから
車屋さんは要りません

本当に自由の国なので
政治家さんは要りません

でも車屋さんが病気になったり
政治家さんが運転手さんを雇ったりするのなら
必要です


白衣のポッケに収める聴診器も
車の部品を繋ぐネジも
声を届けるためのマイクも
必要です

聴診器に使用するゴムも
ネジを造る為の金属も
マイクの精度を上げる研究・開発も
必要です


ちっぽけな存在なので
僕なんてホントは要りません

でも君に必要ならば
必要だという事です


そんな僕がお腹を減らして
直送販売の八百屋さんに行くのなら
軽トラに乗って畑に向かう
農家のおじいちゃんも必要です

遠近両用メガネで道路標識を見るおじいちゃんが
田舎道で人も車も滅多に通らないからと
生命を感じられるんだよ!がははははと笑いながら
43km/hもスピードを出すから
警察官はパトカーで追いかけて来ます

昨日買った僕の時計で7分後
おじいちゃんは心にもなく
「生きてて、ごめんなさい。」
としょぼくれるから

やっぱり
警察官は要りません


自由詩 つみをあやまる Copyright 村上 和 2011-04-04 19:16:15
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