Pの春
昏(ヤッカ)

声はひとつひとつ少なくなって
いつのまにか
神様しかいなくなった町で
僕らはヘンなクスリを1錠飲む

今は青い
奪い合った空

死んでもいい日に
誰かが石油をかぶって
血がいっぱいでた
町の病院にやってきて
診察をうけて
『復唱良好』
『理解は不良』
少し笑って
少しも痛くなさそうで
僕は君に似ているなとぼんやりおもった

『拾った薬は飲まないようにね』

君が不眠症なのはやさしいから
君はいつも不安がるけど、大丈夫
君がもし、訳がわかんなくなって
君の大切な
もうしゃべらなくなった人形や
ドッペルゲンガーを
チェーンソーでぶったぎっても
僕がそれを
ちゃんと縫合するから
どさくさにまぎれて死んだりするな

僕はもう
星は食べられなくなったよ
あの宙に浮いていた魚も
いつのまにか消えて
君以外の声が聞こえてくる
でも心配しないでね
それでも
君のおかげで
どうにか夜に恋しないですんでいる僕だから。
・・・春だから
もっと簡単に言うと
バカみたいだけど
君を好きな僕だから


いつのまにか消えてしまわない君へ


自由詩 Pの春 Copyright 昏(ヤッカ) 2011-03-31 15:40:35
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