史跡を巡る ‥Ⅰ
アラガイs


)春を待つ
小山より寒管(かんすげ)の穂なびく(海に臨めば
突然/寝返りをうつ、竜頭の背骨/割れ
千年と仕えた瘤が、沈む
底浅と跋扈する(海
海は鉛色の羊水に姿を変えた(波
(波は、巨大な溶膜が岸を包み(浚う
(あんぐり)と、すべてを呑み込んだ竜舌
////砕け散る垂直の舳先/泥に沈み
(渡る(風に
カモメが鱗片を運ぶ
(魚が消えた日)

あれは
「白い額縁のなか
流れつく御神手綱/巻き付いた数珠の蔓/茜/染まる沖は蕪木の/池に埋まる確かな記憶の/痕跡」
揮発する手は瓦礫に、ひらから、と、
溶けてゆく牡丹(雪
雪、それはあたたかな部屋で見た/非常の煙/吹き荒ぶ(風
風)風に雪は、すす、ずぅずぅ、と、まわらない呂律の、数えきれない哀しみの息が、肩に、冷たくふりかかる。

/春雨が
(椿)洗う/汐ノ浜
/岬/と隆起する「根なし草
産むころ
「葉土に枯れた松林
盛る、庭先に芽吹く(母子梅)
浸された碑は海苔一面の帯
が」流木と
茅(チガヤ)覆う「三陸の里
/枯渇する丘から海岸を見渡せば
「禁猟区ノ
異臭な実に「面を付けた(猿)も、町へ、町へと下りてきて

潮)立ち入れない東風に浮かぶ(月
夜/すでに放射された
(風媒花

故事を背に繰り返した歪み」その浸食は重い
立ち上がろうとして眺めては、また寝返りをうつ
木霊(わたし
いつかこの更地を辿るように)と
空木(うつき)も、まだ眠る 。










自由詩 史跡を巡る ‥Ⅰ Copyright アラガイs 2011-03-21 02:55:26
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