自殺しないための装置
吉岡ペペロ

サンミゲルをラッパ飲みしながら

いつの間にかスラム街を歩いていた

失意を演出するような

怠惰と自棄をまとって歩いていた

廃線のまわりにはバラックが並び

カラフルな洗濯ものが高く乾されていた

子供たちがちいさな社会をつくり遊んでいる

そこからこぼれた少女は

汚らしいぬいぐるみをまとって屈んでいる

バラックのなかをなにげなくのぞく

暮らしの影がひっそりとしている

たぶんラジオからだろう

ロックンロールが聴こえてくる


ロックはだれに支えられているのか

ロックはだれを支えているのか

そこが人生の底であろうと

そこが人生の得意時であろうと

ロックンロールがなくなることはない

鼓舞でもない

牧歌でもない

癒しでもなければ

自傷でもない

それはただの

自殺しないための装置だ


サンミゲルをラッパ飲みしながら

いつの間にかスラム街を歩いていた

失意を演出するような

怠惰と自棄をまとって歩いていた

廃線のまわりにはバラックが並び

カラフルな洗濯ものが高く乾されていた

子供たちがちいさな社会をつくり遊んでいる

そこからこぼれた少女は

汚らしいぬいぐるみをまとって屈んでいる

バラックのなかをなにげなくのぞく

暮らしの影がひっそりとしている

たぶんラジオからだろう

ロックンロールが聴こえてくる








自由詩 自殺しないための装置 Copyright 吉岡ペペロ 2011-03-20 14:26:11
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