十日めの思い
砂木

飛行機が頭上を飛んで行く
被災地へ向けたものなのだろう
カタカタと揺れる余震が十日たっても続く
少しくらいでは慣れて逃げなくなってしまった

今年は大雪で 果樹 建物 いろんなものが倒れ
三月の末というのに まだ家が雪で埋もれている
それでも 津波と原発の被害を前にして何も言えない
いつもなら雪が目に見えて消え 雪が残っていても
田んぼの苗を作る場所などは 除雪機で消せるのだけれど
ガソリンや灯油を手に入れるのが大変で使えない
苗を作るハウスをいつ建てられるのだろう
放射能がもしここまで流れてきたら 農業は全滅
外国にも売れないだろう 汚染された国のものなど
なにひとつ買う国はないだろう
でも今 頑張って汚染を止める努力をしてくれている
人達に 頭を下げるしかないとテレビをみる

小さな島国 日本
あまり意識してはこなかったけれど
なんて小さな国に生まれたんだろう
やおよろずの神のもと あらゆる宗教を受け入れ
神棚と仏様と クリスマスも普通

林檎の獲り入れの時期に台風で全滅とか
一瞬の自然の脅威の前には抵抗できずにきた
自然の前に何度も打ちのめされながらも
農業を捨てない人達が今までもたくさんいる
お天道様は活かさず殺さず 暮らす人達を脅し支え

なぜ 衛星はやぶさがイトカワとかいう惑星から
微粒子を持ち帰った次の年の災害なんだろう
新幹線はやぶさが 走れなくなったのは偶然か
人間が自然に人工を負担し過ぎたための災害なのか
でもそれだけなのだろうか 
どこぞの地球外からみたら 石油のあるアラブと 
イトカワの微粒子のある日本は 目障りなのだろうか
この地震は そもそも本当に天災か
原発をはじめから狙ったのではないのか
宇宙的な事ではないのか
微粒子を持ち帰ったはやぶさは 地球の位置を教えてしまった
誰かに なんて そんなことも思ってしまうけれど

仕事を優先させて家族を失った消防団の人が泣いている
避難誘導などせずに いちはやく助けたかったろうに

今年 林檎や米はどうなるかわからない
会社も仕事もガソリンも野菜も水も
それでもやっていかないわけにもいかない


自由詩 十日めの思い Copyright 砂木 2011-03-20 12:08:43
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