ジンジャーエール
草野春心



  だれかが死んだ
  数字に埋もれ
  僕はずっと
  血のにおいを忘れていた



  東京の蒼の下
  ふるえが止まらないよ
  明日を
  少しも疑えなくて



  ときどき思う
  痛みだけのために
  証しだけのために
  きみに死んで欲しいと



  ジンジャーエールを飲んだ
  きみに「またね」と言った
  だれかが死んだ
  憎しみを背負えたらどんなに楽なんだろう




自由詩 ジンジャーエール Copyright 草野春心 2011-03-15 01:13:18
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