「ときには鳥のように」
ベンジャミン

言葉にならないものたちが
わたしのわたしをいっぱいにして
あふれるほどにふくらむと
のどの奥をつまらせる

やせ細ったからだみたいに
葉をおとした木の枝がゆれている
春は近いというけれど
瞳にうつる世界は遠い

見えるもの 触れるもの
やがて変わってしまうもの
雨がかなしく降るように思えても
風がやさしく撫ぜているように感じても

それらはただそのときだけの記憶
いま思い描いているものは過去
そんな境目をすらりと鳥が飛んでゆく

あれが自分だったらいいな
だけどとっても寒いんだろうな
だから移ろいを受け止められるんだろうな

自由って
その意味よりも重いんだろうな
鳥はあんなに軽々と飛んでいるのに
思い浮かべる空さえうまく飛べる気がしない

涙につまったときに似た
やり場のない感情を翼に変えられるなら
誰もが空を飛べるはずなのに

ときには鳥のように
そうできたらって祈っても

見つめているのは空じゃなくて
足もとばかり


自由詩 「ときには鳥のように」 Copyright ベンジャミン 2011-02-28 00:03:43
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