雪ん子
砂木

びゅう と風雪の中 てくん てくん 
雪ん子は 雪を踏まずに てくん と
滑って 凍らせながら歩く
やがて 着いたのは 雪の露天風呂

白くてキラキラした柔らかな雪が
やさしく降りそそいでいる小さな窪みに
ゆっくりと肩まで入り 雪ん子は
近くにある つららを ぽきりと折って食べる
吹雪で 風雪が 冷たくて気持ちいい

春が来たら溶けてしまうから
冷たくして凍りつくようにする
寒くして 寒くして
柔らかな雪の窪みに 凍えて埋もれて

キラキラ光るかたい雪の原で
星が遠くからみつめる

雪ん子は 眠るように凍る
明日の朝 吹雪いたら 
街に行ってみようか 

てくん てくん てくん

でも もう春が来るから
おやすみなさいな 凍りの奥へ

星が キーンと 輝く






自由詩 雪ん子 Copyright 砂木 2011-02-25 22:13:59
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