nonya


ゾロリ
色のない
貧血の頬を
滑るカミソリ

ピリリ
痛みのような
微弱電流

プクリ
鼻の左下
盛り上がる
赤い液体

チッ!
煩わしいだけの
日常茶飯

ゾロリ
知らんぷりして
こそげ落とす
昨日の黒カビ

張り巡らされた
無意識の地下網を
流れ続ける
赤い液体

それは僕を
笑わせ 歌わせ
戦かせ 俯かせ
光らせ 黙らせる

途方もない
枝分かれの末端で
揺らぎ続ける
赤い液体

それは僕を
走らせ 謝らせ
疑わせ 漂わせ
喚かせ 肯かせる

ダラリ
唇の左上
流れ着いた
赤い液体

ピリリ
好きも嫌いもなく
受け継いでしまったものは
ちょっぴり塩辛い

チッ!
父親の眉の寄せ方で
鏡を睨みつけながら
母親の寝グセを
ブラシで撫でつけたら

ソロリ
知らんぷりして
いつもの朝に
逃げ込む




自由詩Copyright nonya 2011-02-22 23:48:37
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