退色未遂
本木はじめ

今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも


コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき


錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら


降り積もるきみとの日々は新しい温度にやがて溶かされて あす


破られた約束みたいな青空だ水になりたい山に住みたい


片隅で体操座りこの恋ははかない蕾みたいに未遂で


ぐらぐらとゆれるふたりのとまどいと横断歩道の白線の沈黙


停止線を越えねばならぬ夜がある歩いて二歩の世界の果てへ


村枯れてなおも帰らぬひとを待つレンゲ畑の蜘蛛の巣の蝶



短歌 退色未遂 Copyright 本木はじめ 2004-11-02 21:32:29
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