飛べない鳥
Seia

「悠々自適な生活、老後は江戸へ」と
街頭ビジョンに八百八町が映る

隣を見れば

「未来のテーマパークで新しい興奮を!」
と、目にうるさいホログラフの看板

現在更地のあの場所に
120年後完成予定らしい


嫌だった、この世界が
自由に飛べる、この世界が


30世紀生まれの友達や
50世紀生まれの姪っ子も
私には居るのだけれど

飛べない鳥でも 良かった



中学の時に必修だった時空Aの授業
成績はよかったし、原理も大体理解出来た

隣を見れば

私のノートを写して 赤点を免れた奴が
来週にも中世へ旅立つ

架空の貴族に成り済まし
舞踏会に出るんだと嬉しそうに言った


わからなかった、その笑顔が
時空を飛べる、この世界も


25世紀生まれの母親と
43世紀生まれの父親が
出会って生まれたこの体は

イカロスになりたく無かった

近くの動物園には
千年前、一度絶滅した鳥が
水槽の中を今も飛んでいる


自由詩 飛べない鳥 Copyright Seia 2011-02-20 19:26:44
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