なぜかな
はるな


電車が来るのに
飛び込まないのはなぜだろう
研いであるのに
刃を当てないのはなぜだろう
行き交う車に
跳ね飛ばされないのはなぜだろう
ビルがそびえるなか
落ちないのはなぜだろう
ドラッグストアに
こんなに薬が売っているのに
狂わないのはなぜだろう
海は深いのに
飛び込まないのはなぜだろう
こんなに人がいるのに
満ち足りないのはなぜだろう
眠っても眠っても
眠たくなるのはなぜだろう
物が溢れているのに
ほしくないのはなぜだろう
肌を合わせても
つめたくなるのはなぜだろう
泣き出したいのに
笑ってるのはなぜだろう
やめちゃいたいのに
続けてるのはなぜだろう
満ち足りないのに
欲しくないのはなぜだろう?
果てしなくとおいのに
近くにみえるのはなぜだろう
わたしが明日も
生きているのはなぜだろう
でもなんでこんなに
さみしいときに思い浮かべるのが
一人だけ

一人だけ

それでもひとつになりきれないのは
いったいなぜなんだろう?



自由詩 なぜかな Copyright はるな 2011-02-18 05:12:03
notebook Home 戻る